私は美容院にあるような椅子に座って美容院のように目の前に大きな鏡がある机に向かってコーヒーを飲んでいる。
そこは喫茶店らしく、私の隣の席におばあさんが座った。おばあさんはコートを着ていて上品な人だった。
そのおばあさんと私は面識がありとてもお世話になった人らしかった。
おばあさんは私に人生とは何かみたいな話をしてくれていた。内容は覚えていないが、とても理屈が通っていて納得のいく話だったと思う。話し終えるとおばあさんは着ていたコートを私の肩にかけた。
おばあさんはコートの下に入院している高齢の患者さんが着ていそうなパジャマを着ていた。パジャマを着ていても痩せこけているのが分かったし、立ち上がるとよろめき、歩くとふらついてコケてしまいそうだった。
私は店員さんに「後で必ず戻ってきます。」と言い、おばあさんを支えながら店の外に出てタクシーを拾おうと手を挙げた。
タクシーは止まり私たちは乗っていたお客さんが降りるのを待っていた。私はおばあさんにどこの病院に入院しているのか聞こうとおばあさんの方をみると、さっきまで上品に微笑んでいたはずなのに今は怖い顔をして「なんですぐに降りひんねん。あんな遠くに止まりやがって。」とはっきりとした口調でタクシーに向かって独り言を言っていた。
私は悲しくなって何も言うことができずにまたタクシーの方を向いた。
そして目が覚めた。