私は別居婚をしている。
深夜に仕事から帰宅するけど、私の家なのか分からない。家の中の家具や物は全て見覚えがない。
本棚には漫画のHUNTER×HUNTERが全巻揃っていた。表紙は実際のものと違った。
私はそれを読み始めようと一巻を手に取ったけど疲れていたので本棚に戻した。
振り返るとローテーブルがあった。テーブルの前に座り、テーブルに付いてある引き出しをあけた。そこには亡くなった人の処方箋と薬が入っていた。
すぐに引き出しを閉めて、その場に寝転んだ。
目線の先にはベランダがあって遮光カーテンは開けられてレースだけ閉じられていた。
月の光と町の電気の光が窓から入ってきて、洗濯物が風に揺れていた。
「洗濯物を取り込まないと」と思ったけど、すごく疲れていて目を閉じた。
目を閉じて夫と笑い合った出来事を思い出していた。仲は良さそうだった。
すると、ローテーブルの向こう側から何かの気配を感じた。そしてドロドロとした女の人の声が耳元で「ごめんね」と囁いて私の頭を軽く抑えて私の肩を強く抑えた。怖かった。
なんとなく前にこの家に住んでいた人か、処方箋の人なのかと思った。
体が動かなくて、口も歯茎に麻酔を打たれた時みたいにうまく動かせなかった。
それでも私は何かを喋ろうとしていて、やっと言えた言葉が「お母さん?」だった。
遠くでiPhoneのアラーム音が聞こえてきて夢だと認識した。アラーム音はだんだん大きくなって、夢でよかったと安堵した。
そして目が覚めた。
現実では私は結婚歴もないし、HUNTER×HUNTERも持っていない。