現実で実際に飼っていた今は天国にいる犬と私はまた一緒に暮らしていた。
柔らかい毛も、丸い目も、おやつをねだる仕草も、いびきをかくのも何も変わっていなかった。
私は目的は分からないが家を数日空けなければならず、犬をどうしようかと悩んだ結果、ペットホテルに預けることにした。
出発当日の朝、ペットホテルに連れて行った。犬は状況を理解しているようにも見えたし、何が起こるのか分かっていないようにも見えた。
「大丈夫だよ」と犬の耳元で囁いたが表情に変化はなかった。
ペットホテルを去り、新幹線に乗り座席に座った。
その瞬間に急に寂しさが膨れ上がり、私の都合できっと今は不安がっているはずだと、居ても立ってもいられず次の停車駅で新幹線を降りペットホテルに戻った。
ペットホテルに着いた時には夜中になっていた。そこに預けられている犬たちはカプセルホテルのようなゲージが積み重なっている中で寝ていた。
犬が私の存在に気が付くと頭を下げながら上目遣いで尻尾を振りながらゲージの入り口に近づいてきた。
私はゲージから犬を出し、「ごめんね」と言ってゲージの前で犬を抱きかかえながら巻いていたマフラーを犬に掛け、犬が眠るまで撫でた。
そして目が覚めた。