廃屋のような家の一室の布団に寝転がって窓の外を見ていた。
窓のすぐ横にはコンクリートの塀があり、その上を猫が歩いていた。
部屋の引き戸を開けるとそこには骨が浮いて見えるほどガリガリにやせ細った80歳くらいの男性が下着姿で座っていた。ゆっくりと私のほうを振り向き、黒目が大きいぎょろっとした目でこちらを見た。
その空間は薄暗くじめじめと湿っぽかった。
すぐ横にある机の上には「お世話よろしく」と書いてある紙が置いてあった。私はとても慌てて男性のもとへ駆け寄った。すると男性は床を這いながら自分の口元を黒いガムテープで貼り付けた。
その光景はとても怖かったがまずは男性と会話をしようと話しかけた。しかし男性は何も言わずに床を見ていた。
玄関のドアが開く音がし、「大村さーん」という中年女性の声が聞こえ、玄関から眩しいほどの光が差し込んだ。私は大村ではないのできっとこの男性のことだと思った。
私は余計に動揺して男性に服を着るのを手伝っていた。
そして目が覚めた。